【書評】ブランド戦略シナリオ (阿久津聡、石田茂著)
ブランド学びのために読んだ、第2弾は「ブランド戦略シナリオ (阿久津聡、石田茂著)」。「ブランドづくり」とその「ブランドのコミュニケーション」の仕方を体系的にまとめている良書だと思います。
【思考フレームの全体像】
【学び】
1)顧客の表層・深層でのニーズとウオンツと企業(商品)の表層・深層での価値がマッチし、適切なコミュニケーションをとることで、ブランディングは成功する
▼顧客の表層
・顧客視点の機能ベネフィット:商品の体験によって得ることができると感じる物理的な価値
・顧客視点の情緒ベネフィット:商品の体験によって得られる感情的な価値
・顧客視点の自己表現ベネフィット:商品の体験によって得られる自己演出(ex:ベンツ=金持ち)、情緒価値より深い感情に訴えかける価値
・態度:「好き・嫌い」、「合う、合わない」、「善い、悪い」、「欲しい、欲しくない」の4つに分類される
▼顧客の深層
・価値観:顧客自身の価値観(何に喜びを感じ、何に憤りを感じ、何に怒りを感じるのか?などのその個人の価値観)
・期待:その顧客が健在・潜在で欲しがっている「自己表現」(○○にみられたい)、「感情」(○○なキモチを味わいたい)、「体験」が期待である。
▼商品の表層
・パーソナリティー:商品がもつ人格「どんな人間に見られたいか、見られているか」
・企業視点の機能ベネフィット:商品の体験によって得られる物理的な価値
・企業視点の情緒ベネフィット:商品の体験によって得て欲しいと思っている感情的な価値
・企業視点の自己表現ベネフィット:商品の体験によって得て欲しいと思っている自己演出(ex:ベンツ=金持ち)、情緒価値より深い感情に訴えかける価値
・属性:商品が保有している特性・事実(開発チーム、開発工程、商品の素材、ユーザー、利用方法など)
▼企業の深層
・企業のビジョン:企業自体が成し遂げたい世界
・企業の価値観:企業が大事にしている行動規範、文化
・商品のビジョン:商品を体験したり、普及したりすることによって得られる世界
・商品の価値観:商品の開発、販売、納品行為において実現する行動規範、文化
2)顧客の現状認識を正確に把握することが大切。そのために、有効なのは「基本価値」と「情緒価値」がどのような思考の連鎖になっているかを紐とくこと。
この紐解き行為によって「ブランディング上の課題」も明確になる。
(例:アセロラドリンクの場合は、顧客サイドに、「肌=ビタミンC」という連鎖はあったが「ビタミンC=レモン・ビタミン剤」であったため、「アセロラC=レモンの40倍のビタミンC」というメッセージを訴求するに至った。)
3)メッセージ選定と伝える順番を戦略的にやる。
例えば「アセロラC=レモンの40倍のビタミンC」というメッセージを立証させるために効果的なチャネルは何か?ということを考えること。
お笑い芸人がCMで言うよりも、健康番組で医者が伝えたほうが説得力が増す。つまり、そのメッセージを伝える最適チャネルを設計することが大事。
4)ブランドパーソナリティーの設計フレーム
ブランドパーソナリティーの設計手順は下記5つである
①:ブランドが構成する「形容詞」を出す
例:一貫した、主張のある、楽天的な、柔軟な、有能な、パワフルな、先進的な、気配りのある、繊細な、誠実な
②次に、その形容詞の対義語を出す。
例:一貫した⇔一過性の、主張のある⇔流されやすいなど
③その形容詞から受ける印象を記載する
例:一貫した(ポジ)→古臭い(ネガ)、一過性の(ネガ)→先進的な(ポジ)
④その上で、自分たちの商品・サービスと近いパーソナリティーを定義する
⑤そのパーソナリティーがあらわすクリエイティブを定義する
ウォークマンまで、まだまだ。がんばろうー。